ゲーム内通貨やアイテムを現金化するRMT(リアルマネートレード)に従事する労働者たちの実態。掘金型ゲームから高効率農場ゲームまで、年数百万円を稼ぐ者から搾取される者まで、隠された経済圏の全容を解き明かす。
ゲーム内通貨やアイテムを現金化するRMT(リアルマネートレード)に従事する労働者たちの実態。掘金型ゲームから高効率農場ゲームまで、年数百万円を稼ぐ者から搾取される者まで、隠された経済圏の全容を解き明かす。
RMT業者の組織構造|ピラミッド型搾取システム




具体的に説明すると、業者の組織図はこんな感じだ:
- 最頂点:経営者・資金提供者(暗号資産で数千万の元手を持つ)
- マネージャー層(3〜10人程度。各ゲーム担当、買取相場管理)
- 仲介人・リクルーター(20〜100人規模。SNSやDiscordで労働者を勧誘)
- 現場労働者(100〜1000人規模。実際にゲームをプレイ)


この組織構造の怖いところは、労働者たちの給与分配だ。現場で1万円分のレアアイテムを入手しても、労働者に支払われるのはその15〜25%程度。残りはマネージャーと仲介人で山分けされる。つまり、労働者の時給に換算すると、実は最低賃金以下になるケースがほとんどなのだ。
「掘金型ゲーム」と「農場ゲーム」|実例と1日のスケジュール


掘金型ゲームの例:黒い砂漠、LOST ARK、V4など
掘金型ゲームはプレイ時間が直結して金になる。知人・Aさんが2021年に従事していた黒い砂漠のRMTケースだと、1日のスケジュールはこんな感じだった:
- 朝6:00〜8:00:シルバー(ゲーム内通貨)を効率よく稼げるダンジョンでスキルチェーン。時給換算3000円相当
- 8:00〜12:00:プレイヤーが必要とする「強化石」や「黒結晶」などのドロップアイテムを狙いにいく農場エリアで4時間連続プレイ
- 昼休憩1時間
- 13:00〜18:00:別キャラで「古代遺跡の粉」という希少素材を集めるための繰り返しクエスト
- 19:00〜22:00:オークション相場を確認しつつ、集めたアイテムを業者マネージャー経由で買取業者に売却
つまり、1日11時間のプレイで月30万円程度の収入。ただし、ここから業者マネージャーへの手数料25%、機材・光熱費などを差し引くと、実質手取りは月17万円程度だったという。


農場ゲーム型の例:ブレイドアンドソウル、PSO2、FF14のギル稼ぎ
農場ゲーム型は、特定のクエストを反復して素材を集め、ギルド工房でアイテムを生産するタイプ。2023年某業者で確認された「FF14ギル農場作業員」の給与体系:
- 日給制ではなく「ギル成果型」
- 1日1000万ギルを目標に設定(現在のFF14相場で約1.5〜2万円)
- 目標達成時給与:12000円/日
- 目標未達成時給与:8000円/日
- この給与から「ゲーム内サポート費」(マクロツール使用料、リソース提供料)として20%差し引き
結果として、月給は15〜18万円程度。ただし、この作業は「自動化マクロ」を使うことが前提だったため、実際のプレイ時間は短かった。代わりに「マクロの調整」「相場監視」「不具合対応」など、ある種のプログラミング的な仕事が増える。つまり、単なるプレイヤーではなく、すでに「労働者」扱いだったわけだ。
現実的な「時給」と搾取の構図|実際のケーススタディ


俺が実際に出会ったRMT労働者は、大きく3つのカテゴリに分かれていた:
1. 学生・ニート層(全体の約40%)
この層は「在宅で金が稼げる+ゲーム好き」という触れ込みに引かれる。Bさん(当時22歳大学生)のケース:Discord経由でリクルーターから「時給3000円以上保証、ゲームしながら稼げる」と勧誘を受けた。実際に参加してみると、初月は確かに月25万円稼いだ。しかし3ヶ月目から業者の「紹介ボーナス」が廃止され、月12万円に減少。さらに「知人を紹介したら報酬増」というピラミッド的な誘い文句で、さらに2人の友人を引き込んでしまった。その友人たちが辞めた時点で、Bさんも疎外されて業者から連絡がなくなったという。
2. 無職・低収入層(全体の約35%)
失業中や生活保護寸前の人たちが狙われる。月5万円でも「確実な収入源」として機能してしまう。Cさん(当時42歳、派遣切りを経験)は、「月20万円確保できれば生活できる」という約束で18ヶ月間RMT労働に従事した。しかし、実際のゲーム側のパッチやバージョンアップで稼ぎ方が変わるたびに、業者からは「対応できない人は交代」という通告を受け、結局17ヶ月目に解雇。その後、いくつかのRMT業者を渡り歩き、最終的には詐欺的なポンジスキーム業者に引っかかったという。
3. 海外労働者・移民層(全体の約25%)
これが最も危険なカテゴリだ。東南アジアからの出稼ぎ労働者が、国内RMT業者の指揮下で24時間シフト制で働く。ベトナムから来日したDさんのケース:業者から「月50万円保証」という高額が提示された。しかし、実際には6人で1つのゲームアカウントを共有させられ、実際の給与は月14万円。さらに「寮費」「食事代」「ゲーム機材のレンタル料」として月6万円を差し引かれ、手取りはわずか月8万円。しかも、この金額が「提示額の80%以下になったら契約解除」という条項があるため、稼ぎが落ちると即座に解雇の危機に直面する。


ゲーム会社による監視と「垢バン」のリスク


2022年のLOST ARK大規模BANイベントでは、約3000アカウントが同時凍結された。その中には、RMT業者に雇用された労働者も含まれていた。問題は、業者が「複数アカウント回転戦法」を使っていたこと。
- 労働者AさんがアカウントX-1でプレイ
- 月に1度、「垢バン」されることを前提に、同時にアカウントX-2,3,4を用意
- 垢バンされたら、すぐにX-2に移行
- この「垢スピン」を月3回繰り返す
一見合理的に見えるが、労働者にとっては地獄だ。なぜなら、垢バンされるたびに「新規キャラ育成に1週間」という時間が必要で、その間は給与が発生しないからだ。つまり、月の稼働日数は実質20日程度に減ってしまう。


RMT業者の中には、労働者の逃亡防止のために、以下のような方法を使う者がいる:
- 身分証コピーの預託:入社時に「保証金」として身分証のコピーを預けさせ、退職時に「返さない」と脅す
- SNS上での「実績公開」:稼いだ金額をTwitterで「証拠」として画面キャプしてさせ、後から「その金は未払い」と詐欺的に取り戻す
- 「月ノルマ制」の導入:月30万円以上稼ぐまで辞められない、という契約(実際には口頭のみ)
こうしたトラブルは、実は日本の警察でも対応が難しい。なぜなら「RMT労働者は民間契約」として扱われるため、労働基準法違反には当たらないからだ。つまり、法的には「グレーゾーン」のまま放置されている。
RMT業者の「月給水増し」トリック|実は手取りはもっと低い

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