Innerslothの推理ゲーム『Among Us』が2020年に配信者経由で世界的ブームになったとき、ゲーム内で怪しい人を指す「sus」(suspiciousの略)と、隠れた敵役を意味する「インポスター」がネットスラング化した。日本では「宇宙人狼」の愛称で親しまれ、両者の言葉は今でもゲームコミュニティや推理
Innerslothの推理ゲーム『Among Us』が2020年に配信者経由で世界的ブームになったとき、ゲーム内で怪しい人を指す「sus」(suspiciousの略)と、隠れた敵役を意味する「インポスター」がネットスラング化した。日本では「宇宙人狼」の愛称で親しまれ、両者の言葉は今でもゲームコミュニティや推理ゲーム好きの間で使われている。
ゲームの基本ルール


『Among Us』のゲームプレイは人狼ゲームに似ている。プレイヤーは2つのチームに分かれて戦う。大多数を占めるクルーメイトチームはタスク(宇宙船の修理作業など)を全部終えるか、インポスターを全員追放することで勝利。少数派のインポスターは、クルーメイトをキルするか、サボタージュ(妨害行為)で勝つことができる。


2020年の突然のブーム
| 時期 | 出来事 |
|---|---|
| 2020年7月15日 | 海外の人気Twitch配信者が本作を配信し、流行のきっかけになる |
| 2020年8月 | 多数の大手配信者が遊び始め、人気が急上昇 |
| 2020年9月 | ダウンロード数が1億を超える。公式subredditの登録者が2万7,000人から19万4,000人へ急増 |
| 2020年10月20日 | 米下院議員アレクサンドリア・オカシオ=コルテスが投票を呼びかけるため配信 |
| 2020年12月10日 | The Game Awards 2020でBest Mobile GameとBest Multiplayer Gameを受賞 |
| 2020年12月16日 | Nintendo Switch版が日本で日本語対応で配信開始(520円) |


ブームはゲーム界に留まらず、政治の世界にも影響を与えた。2020年10月20日、米下院議員アレクサンドリア・オカシオ=コルテスが投票を呼びかけるためにTwitchで『Among Us』をプレイ配信したとき、同時視聴者数は43万5,000人に達した。政治家が一般向けの影響力強化のためにゲームを活用する時代を象徴する出来事だったといえる。
「sus」と「インポスター」の意味


「sus」は本作がブームになる前から英語圏のスラングとして存在していたが、ゲーム内で頻繁に使われることで2020年のネットミーム化につながった。プレイ中、他のプレイヤーの行動や発言で「怪しい」と感じたとき、チャットで「You are sus!」と指摘するのが定型表現となり、やがてゲーム外でも「その行動、sus だね」と一般的なネットスラングとして広まっていったのだ。


一方「インポスター」はゲーム内で敵役を指す役職名で、英語の「imposter(詐欺師、なりすまし者)」に由来する。Among Usの世界観では、宇宙船に紛れ込んだ敵のキャラクターがインポスターと呼ばれており、プレイヤーたちはこの言葉をそのまま受け入れた。ゲーム外では「あいつはインポスター」という使い方で、信頼できない人物や本物でない者を比喩的に指すようになっている。
日本での浸透と「宇宙人狼」の呼称


日本でのAmong Usの浸透には、人狼ゲームという既存の文化との結びつきが大きかった。人狼ゲームは日本でも人気が高く、ボードゲームやアプリ、実況配信での題材として定着していた。そのため、新作ゲームをわかりやすく説明する際に「宇宙人狼」という表現が自然に使われたのである。
「インポスター」と「クルーメイト」はゲーム内の役職名としてそのまま日本でも使われている。実況配信やゲーミングコミュニティでは、これらの正式名称が周知されており、日本語に置き換える必要はないと判断されたようだ。


続編開発中止と本作への注力
ブームの最中、開発元Innerslothは意外な決断を下した。2020年9月23日、公式に『Among Us 2』の開発中止を発表し、代わりに本作『Among Us』の改良と拡張に注力する方針を示したのだ。これは多くのプレイヤーの期待を裏切るものだったが、既存ユーザーベースの拡大を優先すると同時に、開発リソースを効率的に配分する戦略だったと考えられる。


ゲーム文化史における意義
『Among Us』と「sus」のストーリーは、21世紀のゲーム産業において重要な幾つかの事象を象徴している。第一に、インディーゲームが配信者経由で世界的ヒットになる可能性を示した。第二に、ゲーム内のスラングがネット文化を越えて一般社会に浸透し、正式な辞書に載るまでになったこと。第三に、新しい世代のプレイヤーが過去の人狼ゲームやパーティゲームの系譜を受け継ぎながら、新しい文化を創造していることだ。
また、コロナ禍の2020年という背景も見逃せない。外出自粛の中、家にいながら世界中の人と非同期でコミュニケーションできるゲームの需要が高まり、Among Usはそれに完璧に応える作品だった。米議員の配信というエピソードからも、ゲームがもはや娯楽の枠を超えて、広い世代の人間関係構築やメッセージ伝達の手段になっていることが伺える。
まとめ
『Among Us』は2018年の地味な発売から、2020年の配信者ブームを経て、わずか2年で世界的な現象へと成長した。ゲーム内で敵役を指す「インポスター」と、怪しい人を指す「sus」は、ゲームコミュニティの内だけでなく、一般的なネットスラングとして定着した。特に「sus」は2022年にMerriam-Webster辞書に追加されるほど、言語文化にまで影響を及ぼした。日本では「宇宙人狼」の愛称で親しまれ、従来の人狼ゲーム文化と融合する形で受け入れられている。
このブームは、インディーゲームの可能性、配信文化の影響力、ネットスラングの浸透、そしてコロナ禍という時代背景のすべてが重なった、珍しい事例と言えるだろう。
参考にした情報源
- Know Your Meme: Among Us
- Wikipedia: Among Us
- Game Watch: 宇宙人狼こと「Among Us」のSwitch版が登場!
- ねとらぼ: Among Us レビュー
- Dictionary.com: pretty sus
- TechCrunch: AOC aims to get out the vote by streaming Among Us
- ABC7: Alexandria Ocasio-Cortez played ‘Among Us’ on Twitch to encourage voting
本記事は上記の公開情報をもとに構成しています。会話部分は解説のための演出です。
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