City of Heroes復活劇|終了MMOのファンサーバーが公式化するまで

City of Heroes復活劇|終了MMOのファンサーバーが公式化するまで ネトゲ文化史・事件簿
💡 この記事の結論

スーパーヒーローMMORPG『City of Heroes』は2012年にサービス終了しましたが、ファンが秘密裏に運営していたサーバーが2019年に公になり、その後Homecomingというファン運営プロジェクトが2024年にNCSOFTから公式ライセンスを取得。終了したMMOがファンと権利者の協力で正式に復

【City of Heroes復活劇】
スーパーヒーローMMORPG『City of Heroes』は2012年にサービス終了しましたが、ファンが秘密裏に運営していたサーバーが2019年に公になり、その後Homecomingというファン運営プロジェクトが2024年にNCSOFTから公式ライセンスを取得。終了したMMOがファンと権利者の協力で正式に復活した珍しいケースです。

黄金期から突然の終了まで

オンラインゲーム初心者
先生、「City of Heroes」って聞いたことあるんですけど、どんなゲームなんですか?
オンラインゲームの達人
いい質問だね。City of Heroesは2004年に始まったスーパーヒーローテーマのMMORPGだ。プレイヤーが自分だけのヒーローを作って、街を舞台に悪役と戦ったり、他のプレイヤーと協力したり。当時のMMOの中でも、キャラメイクの自由度が特に高かったんだよ。

City of Heroesは、PC向けのスーパーヒーローテーマMMORPGとして、オンラインゲーム史では大きな存在でした。開発はParagon Studiosが手がけ、運営はNCSOFTが担当していました。2004年のサービス開始から、多くのプレイヤーが自分だけの超能力ヒーローを育成する楽しみにハマっていました。

しかし、2012年8月31日、その歴史は突然幕を閉じることになります。

オンラインゲーム初心者
2012年?それって当時は珍しくないですか?
オンラインゲームの達人
そうだな。MMOのサービス終了は時々あったが、City of Heroesが衝撃を与えた理由は、当時基本無料化で利益が伸びていたのに、いきなり終わってしまったということなんだ。NCSOFTは詳しい理由を説明せず、ただ2012年11月30日のサービス終了と、開発元Paragon Studiosの閉鎖を発表した。

当時の報道では、この終了は単なるサービス打ち切りではなく、NCSOFTの経営判断そのものへの疑問が浮かぶほど、唐突な決定と受け止められました。ゲームの終了から完全閉鎖まで、わずか3ヶ月という期間も、プレイヤーに動揺を与えました。

秘密のサーバー「SCoRE」の発見

オンラインゲーム初心者
ゲームが終わったら、もうプレイできないってことですよね?
オンラインゲームの達人
普通はそうだ。ただ、City of Heroesの場合は違った。2019年4月、驚くべき事実が明かされる。

2019年4月、オンラインゲーム業界にニュースが駆け巡りました。「Secret Cabal of Reverse Engineers」、通称「SCoRE」と呼ばれるグループが、City of Heroesのサービス終了から一度も途絶えることなく、秘密裏にサーバーを運営していたのです。

オンラインゲーム初心者
ずっと秘密でサーバーを動かしてたんですか?それって…法的にはどうなんです?
オンラインゲームの達人
その通りだ。技術者グループが、権利者であるNCSOFTに無断でサーバーを運営していたわけだから、法的には問題がある状態だった。だからこそ秘密にしていたんだろう。ただし、このグループは非営利で、ファンのために活動していたんだ。

SCoREが公になると、サーバーのコードもファンに流出しました。その間、コアなファンたちは、失われたはずのCity of Heroesの世界に戻ることができていたのです。

爆発的な復活──ファンサーバーの時代へ

オンラインゲーム初心者
公になったらどうなったんですか?
オンラインゲームの達人
それが、むしろ爆発的に広がったんだ。2019年4月末の時点で、ファン運営のサーバーには2万2000件のアカウント登録があった。それもサービス再開からわずか2週間で。

SCoREが公になった時点で、サーバーのコードもファンに流出しました。すると、それまでの単一のサーバー運営から一転して、複数のファン運営サーバーが立ち上がり始めます。僅か2週間のうちに、4つの異なるサーバーが稼働し、それぞれに待機列ができるほどの人気となりました。

この時期、City of Heroesはサービス開始から15周年を迎えていました。長年失われたゲームへの想いが、プレイヤーの間に溜まっていたことを示すように、多くのファンが一斉にこれらのサーバーに殺到したのです。

オンラインゲーム初心者
複数のサーバーがあったということは、どれが「正統」なのかとか、競争もあったんですか?
オンラインゲームの達人
そういった側面もあったと思うね。ただ、その中で「Homecoming」というプロジェクトが、コミュニティを代表するような位置づけになっていった。彼らは単にサーバーを運営するだけでなく、ゲームの開発も続けていたんだ。

4年以上の交渉──Homecomingの公式化への道

Homecomingが他のサーバーと異なった点は、運営の透明性と、ゲーム開発への取り組みです。彼らはプレイヤーコミュニティと積極的に協力し、新しいコンテンツを追加したり、バグを修正したりしていました。そうした活動を通じて、Homecomingはファン運営サーバーの中心的な存在へと成長していきました。

しかし、ファン運営の限界もあります。常に権利者NCSOFTから法的なアクションを受けるリスクを抱えていました。そこで、Homecomingのチームは一つの選択肢を検討し始めます。──権利者と交渉して、公式なライセンスを得ることです。

オンラインゲーム初心者
NCSOFTとの交渉?ゲームを終わらせた会社と上手くいくんですか?
オンラインゲームの達人
確かに難しそうだけど、ここが重要なポイントなんだ。Homecomingのチームは、2019年からライセンス取得のためにNCSOFTと交渉を続けていた。4年以上の粘り強い対話があったわけだ。

2019年から2024年にかけて、HomecomingのチームはNCSOFTと何度も何度も交渉のテーブルに着きました。その過程での具体的なやり取りが公開されているわけではありませんが、ファンの想いと、コミュニティの実績が、徐々に企業側の判断を変えていったと考えられます。

重要なのは、この交渉がゲームを愛するプレイヤーと、その権利を持つ企業の間の信頼醸成プロセスだったということです。

歴史的な瞬間──2024年1月、公式ライセンス取得

オンラインゲーム初心者
それでライセンスをもらえたんですね。いつのことですか?
オンラインゲームの達人
2024年1月だ。Homecomingが「NCSOFTから公式ライセンスを取得した」と発表した。これはゲーム業界の中でも非常に珍しい出来事なんだよ。

2024年1月、City of Heroes史に新たな章が刻まれます。NCSOFTがHomecomingに公式ライセンスを付与することを発表しました。この決定により、ファン運営のサーバーが、正式に公認されたゲーム運営体へと変わったのです。

オンラインゲーム初心者
ライセンスを得るということは、どういうメリットがあるんですか?
オンラインゲームの達人
大きなポイントが3つある。第一に、法的な安定性だ。これまでは黒い状態だったのが、堂々と運営できるようになった。第二に、ゲームをさらに開発できるという許可をもらったこと。第三に、既存プレイヤーのキャラクターがそのまま引き継がれたんだ。

ライセンス取得の契約では、いくつかの重要な条件が設定されました。第一に、HomecomingはCity of Heroesのサーバーを運営し、ゲームをさらに開発する権利を得ました。第二に、NCSOFTは引き続きCity of Heroesの知的財産を所有し続けます。つまり、企業側は将来、自らCity of Heroesの新作を制作することもできるわけです。

もう一つの重要な特徴は、ゲームが引き続き無料でプレイできること。運営はプレイヤーからの寄付によって支えられています。これは商業化ではなく、あくまでコミュニティの支援型運営という形を保つ選択だったのです。

オンラインゲーム初心者
でも、他のファンサーバーはどうなったんですか?ライセンスはHomecomingだけ?
オンラインゲームの達人
そうだな。ライセンスはHomecomingのサーバーのみが対象だ。他のファンサーバーは、引き続き非公式のままということになる。つまり、Homecomingが選ばれたわけなんだ。

なぜこれが特別だったのか

City of Heroes の復活劇が業界で語り継がれるようになったのは、いくつかの理由があります。

まず第一に、**ゲーム保存の新しい道筋を示した**ことです。サービスが終了したゲームは、通常は歴史の中に消えていきます。しかし、ファンコミュニティが自力でゲームを保存し、それが最終的に権利者から認められるという事例は、非常に稀です。デジタル文化の保存という観点から、これは先例となるケースなのです。

第二に、**企業とファンコミュニティの関係の理想的なモデルを示した**こと。NCSOFTが権利を保持しながらも、ファン運営に正式なライセンスを与える決定は、一見矛盾しているように見えますが、実は非常に現実的で柔軟な選択です。権利者も新作制作の可能性を保ちながら、ファンも安定した運営ができる──この双方が満足できる形が作られたのです。

オンラインゲーム初心者
Homecomingのチームはなんてコメントしたんですか?
オンラインゲームの達人
「ここ数年の皆さんの忍耐に感謝します。それが報われたことを発表できて非常にうれしい」というコメントを出している。4年以上の交渉と、ファンの皆さんの支持が実を結んだんだ。

まとめ──失われたゲームが帰ってくる日

City of Heroesの復活劇は、終了から12年後、秘密のサーバーから公式ライセンスまでの歴史を経て、2024年1月に新しい段階へ進みました。2012年の突然の終了、2019年の秘密サーバー発覚、そして2024年の公式化──この3つの節目を通じて、このゲームはデジタル時代のゲーム文化の重要な事例となりました。

重要なのは、この復活がプレイヤーとデベロッパー、そして権利者の間の信頼と対話がなければ成し遂げられなかったということです。終了したゲームは戻らない、というのがこれまでの常識でしたが、City of Heroesはそれを覆しました。

もちろん、全てのゲームがこのような復活を遂行できるわけではありません。しかし、City of Heroes の事例は、ゲーム文化を守りたいというファンの想い、それを受け止める企業側の柔軟性、そして何年もかかる交渉と信頼構築の重要性を示しています。これからの業界では、サービス終了したゲームに対して、どう向き合うか、という問いが、より真摯に問われるようになるかもしれません。City of Heroes の復活劇は、その問いへの一つの答えを示しているのです。

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